伊佐沼にチョイよりしてコアジサシ以外のアジサシが来てないか確認する日が続いてます。時刻は午後2時半ぐらい
コアジ自体が2~3羽ほどしかいないので車に乗ったところ急にそらに飛び交う影がいくつも現れたので撮影してみました。が、ぱっと見で「ああ、コアジか」と判断してしまいました。くちばしが黄色かったから。いやこの時点でちょっと赤っぽいなあとは思ってたんだけど天気が悪いからそう見えるんだと思うことにしてしまった
幸運だったのは対岸に探す鳥がいたのでついでにしばらくこの群れも眺めていたこと。その時もなんか小さいのがいるなあと思っていたのですが正常化バイアスと言うやつなのか飛んでるときの角度の違いでそう見えてるだけかなと思い込んでしまいました
近くに来たときに「普通のサイズの方」を撮ったのがこれ。実際はコアジサシより大きいこいつらをコアジサシと思い込んだのは、翼が細長く燕尾の尾羽というコアジサシと同じシルエットだったためです。来るならクロハラアジサシやハジロクロハラアジサシと考えていたのでこういう体型のアジサシを予想していませんでした。さて以下判別のための基礎資料は『日本の野鳥650(平凡社)』2014 真木広造・大西敏一・五百澤日丸 を基本としました。適時他のガイドブックも参考にしました
頭部はコアジサシと違い前部もすべて黒。下の画像のくちばしが黒い個体はこの二つの特徴だけですでに「アジサシ」夏羽と同定できそうです。夏羽で頭部がこのように黒で覆われる種類はほかにキョクアジサシ、クロハラアジサシ、ベニアジサシといますがクロハラは腹部が黒くまた燕尾ではありません。ベニアジサシとキョクアジサシはくちばしが朱色ですので明らかに違います。つまりこれは無印の「アジサシ」ですね
問題はくちばしが朱色の個体です。今書いたとおりくちばしが朱色なのはベニアジサシとキョクアジサシがいますが、さらにアジサシの亜種、「アカアシアジサシ」というのもいるのだそうです
このうちキョクアジサシは非常に希ということで抜いておいてベニアジサシか亜種アカアシアジサシかに絞ってみます
何かに止まっている状態だと見分けやすい違いがあるのですがこの日は飛んでばかりでしたのでそこから判断しなきゃいけません。ベニアジサシの最外側尾羽の外弁は白いのですがアジサシは黒みがかっているそうです。そしてこの個体は黒く尾羽が縁取られています。つまり「アジサシ」の特徴を持っています
またベニアジサシのくちばしはやや長いですがこの個体は黒いくちばしのアジサシと同じ程度の長さです。さらにくちばしの色もベニアジサシでは明るいオレンジになるのに対し、この個体はクロハラアジサシのようなカーマインでくちばし上部が黒ずんでいるのも違いです。よってこのアジサシは「アジサシの亜種アカアシアジサシ」と見ていいのではないかと思います
何より無印アジサシと共に移動してきたということが近縁さを物語っているはずです。もっともベニアジサシもアジサシの群れの中によく紛れ込んでいるようですが
ごく薄日が差したり完全に隠れたりのさえない天気で色味が分らないのが残念です。亜種アカアシアジサシは亜種アジサシより「背から翼正面が明るい灰色」なのだそうですが、光の差し方や距離でぜんぜん違ってしまうので止まっているときに並んで出ないと比較にはならないですね
このアジサシの群れが活動を始めるとコアジサシも1羽飛び立ち一緒に周回していました。これが「中に一羽小さいコアジサシがいる」と思った個体です
アジサシたちはダイビングしません。水面を掬うようにエサ取りします。止まっているコアジサシに急接近して飛び上がらせることもしていました。『街・野山・水辺で見かける野鳥図鑑』ではアジサシがコアジサシのエサを横取りすると書かれています。そういうことしていたのかも知れませんね。つくづく適当に切り上げてきてしまったのが悔やまれます。もっと観察するべきでした
コアジサシと違いここで繁殖せずシベリアに渡る立ち寄り組のアジサシたち。観察できる機会は短そうです
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