仙波河岸公園の脇にある金網に囲まれた沼。私が小学生の頃、時々ザリガニが大発生して子供たちが金網をよじ登って漁をしたものです。そして案の定PTAで問題になったりで学校からキツくお仕置きが出たのでした
ここの名前は何というのだろう。滝の下の沼?とりあえず「沼」と呼んでおきます。この沼にはマガモ数羽が居着いていてそれにコガモ2~3羽、カイツブリ2羽ほどが常連でした。しかしこの日行ってみるとなんか変なのが・・・
なんか新種っぽいのがいます。オカの付かないヨシガモってやつか?と慌ててスマホで確認しました。頭が赤で顔の横が緑なんでヨシガモで決まりだなと一見思ったのですがよく見てみるとなんか違う。いやだいぶ違う。
参考にWikipediaの画像と比べてみましょう
仙波河岸公園にいたほうは顔の下半分がえんじ色じゃありません。光沢も無い薄茶と黒の混色。ほかの画像も見てみると・・・
顔の半分が茶色であるほかにヨシガモと比べると
・首の黒い線が細くその上下の白色部分が無い
・ヨシガモの三列風切りは長く垂れた飾り羽になっているがこちらは短い
・尾部のクリーム色の三角形が小さい
などの違いがあります。そしてこのカモは2羽のオスのオカヨシガモと一緒にいました。どうやらオカヨシガモとヨシガモの雑種と考えてよさそうです。尾部のクリーム色はコガモのオスにもあるのでコガモとオカヨシガモの掛け合わせかもと思ったのですが、細いながらも首輪が見られるのでヨシガモに近いようです
そして決定的なのがこれ
ヨシガモのメスもいっしょにいました。とは言うものの私はヨシガモを見たことが無かったので、パッと見てちっちゃくてくちばしが黒いので最初はコガモのメスだと思い込んでいました。けれどこちらはオスのヨシガモほどではないですが三列風切りが長く後ろに垂れるように伸びているのでメスのヨシガモです
始めて見たヨシガモはメス、そしてオスはオカヨシガモとのミックスだったという面白いケースでした。残念ながらこの群れは2月以降に訪れたときにはもう見られなくなっていました
この池にはもう一羽ミックスがいます。マガモとカルガモの雑種「マルガモ」でしょう
カルガモ二羽とオスのマガモ一羽といっしょに群れになっていました。ヨシの中には休んでいるマガモもいるのでそれらも同じグループなのかもしれません
交雑だけでなくカモではメスがオスの特徴を備える「雄化」という異常が観察しやすいようで、ネットでは画像を挙げてこれは雄化なのかどうかと喧々諤々の論議がされているようですが、まあ明らかにそうだっていうの以外は捕まえてみて染色体でも調べないと本当のところは分からないのではと思います。何かとの雑種かも知れないしオスの雌化ってのがあるのかも知れない。表現型だけでは推測にしか過ぎないってのは何も同種の雌雄に限らず分類学で過去20年ほどのDNA分析のめざましさで経験してきたことです。ハヤブサとタカはまったく違うんだと。むしろハヤブサはインコに近いんだと
とにもかくにもここの池は周囲100mちょっとぐらいの大きさながら金網越しなので、鳥たちの警戒が薄くて肉眼でも楽しい行動観察ができます
大きなザリガニを見つけたカイツブリはどうやってかハサミや殻を外して美味しいところだけ丸飲みしてました。エビの類いはどの鳥にもご馳走です
1月の様子を2ヶ月遅れの大変な事後報告になってしまいましたが来年もまたやってくるかも知れないです。その時は華やかさからナポレオンガモと呼ばれる純粋なオスのヨシガモも連れてきて欲しいです
※追記
氏原巨雄・氏原道昭『日本のカモ識別図鑑』(誠文堂新光社 2015)のp148,p153から上記の個体がオカヨシガモ✕ヨシガモの雑種と確定しました。またオカヨシガモが入った雑種は他のカモとのものでも顔の下半分が褐色になる傾向があるそうです。この個体もそのようになっています。
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