先日無印のアジサシが来たのを記録できましたがくちばしが赤い個体がベニアジサシなのかアジサシの亜種・アカアシアジサシなのかはっきりさせたいのでもう一度行ってみました。早朝に行ったときにはいなかったのですが、昼過ぎには飛んでいました


あいにくの驟雨の中。また色味がわかりづらいです。アジサシは全部で4羽。うち一羽がくちばしが赤い個体です
ベニアジサシとアカアシアジサシを識別する決定点が「止まったときの尾羽と初列風切りの長さの違い」のようです。ベニアジサシだと尾羽のほうが長い。ノーマルアジサシは初列風切に尾羽がほぼ覆われてしまいます。黒いくちばしのほうが飛んでいるのを見ると翼の先半分が長くこれなら確かに尾羽より後方に突出しそうです

幸い今日は杭に止まってくれました

赤いくちばし赤い足の個体も白い尾羽と黒っぽい風切り羽の長さがほぼ同じぐらいです。これでこの個体も「アジサシの亜種アカアシアジサシ」と同定できました
画質が悪いのですが狩りの様子です




アジサシの語源は鋭いくちばしで鯵を刺すと思われてたからだそうですがここ伊佐沼での獲物は小さいからか派手な狩りはしません。水面に近づいたかなと思ったら離れていく。画像を見ると水に飛び込まずに器用にくちばしだけで水面の小魚をピックアップしています







こちらは魚を捕らえていないので水浴びだったのかも知れません。あるいは取り逃がしたか。コアジサシはホバリングからの垂直ダイブ、斜めからのダイブなど使いますがアジサシの水中への入射角は浅いですね。海で大物が取れるならエネルギー使ってダイブするのでしょうか。ここではコアジサシよりリーチのあるくちばしが水面下の魚に届くから省エネの狩りのスタイルなのかな
さてさて実はこの群れの中にはくちばしと足が両方赤い個体のほかに足だけ赤い個体も一羽います

くちばしは黒く足は赤い。ガイドブックによるとアジサシの中にはそういう個体もままいるそうです
ここで思ったのは「亜種アカアシアジサシってそもそもなんだ?」ってことです。亜種となっているなら分布や行動パターン、渡りの時期などに差があると思われるのですが、ガイドブックにもネットでアカアシアジサシで検索しても日本語でそういう解説は一切ないです。足だけ赤い亜種アジサシがいるなら足もくちばしも赤い「アカアシアジサシ」も、其亜種アジサシのただの色変わりではないのか。実際「これがアカアシアジサシ」と上げられている画像もみな亜種アジサシの中に混ざった亜種アカアシアジサシです。アカアシアジサシだけの群れというものは見られません
そこで英語版のWikipediaを見てみるとアジサシの亜種には4亜種認められているそうです。そのうち其亜種Sterna hirundo hirundoはもっとも広く分布し繁殖地はヨーロッパ、北アフリカ、東アジアから西シベリア・カザフスタン、北アメリカです。これがくちばしも足も黒いもののようです
そして繁殖地がバイカル湖東から北モンゴル、南チベットに至る地域の亜種S. h. minussensisの特徴がくちばしが朱色だとありますので、これがいわゆる「アカアシアジサシ」なのだと思います。くちばしの色によっての亜種の差は確かに認められているようです
たださらに別の亜種S. h. longipennisの特徴は「黒いくちばしを持ち赤茶色の足」だそうです。つまり上の画像の真ん中のように、日本でアジサシには赤い足のものもいるとされているのはこの亜種のことを指しているのかもしれません。もちろんそれとは別に其亜種のアジサシにも実際足が赤いのがいるのかもしれない。ちなみにこの亜種longipennisの繁殖地は中央シベリア、中国、さらにアラスカだそうです。longipennisは長い翼を意味します
このウィキの記事によるとさらに混乱させられることには、くちばしの赤い「亜種アカアシアジサシ」S. h. minussensisは「其亜種とlongipennisの交雑とも考えられている」のだそうで、こうなるともう訳が分りません
繁殖地に行ったら赤いくちばしばかりとか赤茶色の足ばかりとか言うわけでも無さそうですし、日本の川越で三つの亜種が一緒に旅していたら行き先は同じだろうから分布の差はないだろうとも思ってしまいます。アジサシの亜種とは何なのか、私には無理ですので研究者の方調査お願いします!!


さて割りを食ってるのはコアジサシたちです。傍若無人なアジサシのせいで止まり木をしょっちゅう奪われてました

ヨシゴイは何羽いるのでしょうか?この子は今まで見たのとはまったく色合いが違います。頭頂が青黒いのはオスなのだそうです。風切羽も同じ色合いに成っています

杭の間の繋ぎ木の上に親鳥が草を敷いて新しい巣にしていました。数日後の大雨の予報が関東にもでてますがやはり野生の勘で分るのでしょうか。臨機応変ぶりにも感服です
そしてこれ!!

ついに見られた!念願だった生まれたての子ガモ連れが伊佐沼にいました。これはまた別の記事で
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