12月1日、2日と二日連続で狭山湖に遠征してみました。多摩川の水を引いて貯めている人造湖ですが大昔の多摩川流路の名残である柳瀬川はここを水源として流れ最終的に新河岸川に注ぎ込んでいるので、新河岸川と関係ないわけじゃ無いとこじつけ、周辺では見られない鳥を見に行きました。
というのも最近NHKの「ダーウィンが来た!」でカンムリカイツブリのディスプレイや子育ての様子が放送され、本か何かで「狭山湖にはカンムリカイツブリが来る」とだけ読んだことがあったのを思い出したので見てみたくなったのです。それ以上の予備知識や今もういるのかどうかのSNS情報などは調べず行ってみてのお楽しみ探鳥でした。
「日本で急増中!おしゃれ水鳥の柔軟ライフ」初回放送日: 2022年11月13日
制作裏話「「カンムリカイツブリ」~来る池、来ない池に秘密アリ~」
12月1日は暗い曇天。到着するといきなり雨に当たられてしまいました。望遠レンズとともに撤収していく人たちとすれ違います。気温は10度ぐらい。
狭山湖は遊歩道から水面までかなり距離があり近づけないので双眼鏡は必須です。肉眼ではよく分かりません。子供の頃ライオンズを応援していたんで「西武球場」に行く前にここには見物に来たことがあったんですが変わってない。あの沖のなんかの建造物はもう歴史的建造物と言えるほどなんだろうし、私も歴史に取り込まれるくらいの年を生きてきたのだなと感慨深く思います。でもここでのバードウォッチングは初体験。
そして湖に面するところまで来るといきなり図鑑でしか見たことのないカモが!なんだこれは!?
ホシハジロっていうやつか。全国に広く分布し淡水域でも海水域でもたくさんいると図鑑に書いてありますが私の周りではそうでは無いのでこいつはたいへんな希少種です。すごいのをゲット。しきりに潜り、姿が見えなくなります。入り口から湖に一番近いあずまやの真下辺りにいました。そしてすぐ側には
いた、いた。カンムリカイツブリというのはこれに違いない。ぽつぽつと3羽が時々潜って魚を追っているようです。ダーウィンが来た!で見た繁殖羽のように豪華では無いけど気品のある居住まいです。ところで空が暗くてよく分からないのですがなんか違うのもいるような・・・。
配色がカンムリカイツブリと似ていたので首を縮めているだけかと思ってたらどうも違う。どことなくユーモラスで何か見覚えがあるようなんだけどなんだか思い出せない形状。鳥としての種名はハジロカイツブリというのらしい。だが何か別のものに似ている気がする。ちなみに一羽だけでいました。時々潜ります。子供の頃水泳を習っていたのですが理想的な飛び込みはこういう感じでしたね。野生の生き物は余裕でやってのけます。
私にとってのレアアイテムを早々にたくさんゲットしました。直線の遊歩道脇を見渡すとたくさんのカモが浮いています。8割がたマガモ、2割ぐらいオカヨシガモ、ほんの少しコガモといった割合でした。
空を見渡すとカモメが飛んでる。埼玉県民にとっては異国情緒漂う景色です。種類までは分かりません。きっと次の「翔んで埼玉」ではカモメの種類が分からなくて「さてはお前は海なし県から来たな」と見破られてしまうのでしょう。
いつものカイツブリもいます。カンムリカイツブリやハジロカイツブリ、ホシハジロのいた深場ではなくマガモたちのいる浅瀬です。棲み分けされてるようです
普段は意識して見てませんでしたがハジロカイツブリと比べてみるとダイブの様子はずいぶん違いますね。空中にまで飛び上がる勢いのハジロさんとは違いスポンと沈むように潜っていきます。
さていちばん興味を引かれたのはマガモのオスがディスプレイらしき行動をしていたことです。首を上下に伸び縮みさせながらメスの後を追いつづけ、受け入れてもらえると少しの間背中に乗るという形のようで、ところどころで行われていました。
実は翌日も狭山湖に来たのはこれをもっと詳しく見たかったからなのですが二日目は一度も見られませんでした。エクリプスの換羽が終わってオスの羽毛がオスらしくなったタイミングでパートナーを探すスイッチが入るんだなと思ったのですが、スイッチの入り方には別の要素もあるようです。メスが受け入れたときの合図や一度のこのディスプレイでつがいが決まるのか、それとも何度もやって絆を深めるのかなども見たかったのですが。地元ではここほど大群でマガモが群れているところは無いので見られる機会は少なくなるのが残念です。
陸の鳥たちも少し見てそろそろ引き返そうかと思っているとはるか沖のほうになんか波とは違うものがあるような。私の視力じゃ双眼鏡では見えないのでカメラで写してみるとなんじゃこりゃ~!
カンムリカイツブリさまの大群。これが名物なのか。しかし遠い、遠すぎる。何が何だかよく分からない。でも予備知識無しで行くのは自分でこれを見つけたっていう満足感がありますな。「カンムリカイツブリ、希少じゃねーじゃん」って笑いました。
マガモのディスプレイを見るためにきた二日目は一転して快晴。しかし強風で前日とは正反対のような天気でした。気温は同じくらいの10度ちょっと。この天候変化でスイッチが入らなかったのか上に書いたようにマガモは期待外れでしたがこのカンムリカイツブリたちはもっと近くまで来て狩りをする様子が見られました。
ファーストペンギンならぬファーストツブリがいてたまたまそいつが潜るとほかの鳥たちも潜り始めるのか、それとも魚の群れが追いやすい状態になるとそれぞれが各自に判断して潜るのか。帯状に群れているのがヒントのような気がします。それにしてもこれだけの大群が毎日食事して養える魚って何がいるのでしょうか。ワカサギかな。
ところで手前のマガモの群れの中に目を移すと遠い沖にちょっと違うのが混じっています。
ミコアイサです。これは以前上尾の池で見たことがありました。確認できたのはオスメス一羽ずつ。ずっと首を埋めていてオスのほうはついぞパンダ顔を見せてくれませんでした。メスは少しの時間顔を上げてくれましたが潜水したりとかのアクションはせず。彼らの活動に適した条件では無いようです。
一方同じ海ガモのホシハジロは昨日よりずっと数が多くいました。昨日より明るいので色彩が分かりやすくなりました
こちらもカンムリカイツブリのようにほとんど採餌をするわけでも無く集まって漂っていました。そんななか貴重なサービスシーンがこちら。
動く造形美を感じます
ハジロカイツブリは今日も単独でした。昨日と違いかなり沖合にいました
『見たくなる!日本の野鳥420』にはハジロカイツブリは数十羽で追い込み漁をすると書いてあるのですが群れる季節は夏なのでしょうか。そうそう何かに似ていると思ったのはアルパカでした。もっさりしている。
前日はまったくいなかったカルガモもいました。カルガモがマガモやオカヨシガモより少ないのは陸上の草がまったく無いからなのでしょうか。ヒドリガモが全然いないのもそれゆえかも知れません。
マガモもオカヨシガモも二日間、ほとんど採餌しているようすは無くいつ何を食べてるのかは不思議です。水中に水草はあるのでしょうが彼らが潜って届く浅瀬は少ないし、その範囲だけで一冬分の水草はあるのだろうかと怪訝になりました。
さて狭山湖周辺はトトロの森が点在する丘陵地帯で陸の鳥も色々期待できるはずです
案内板にもここはオオタカが見られる豊かな森と煽り文句が書いてありますがオオタカを発見するのはここの個体の習性に慣れていないと難しそうです。手前のカモを狙って近くまで飛んできてくれれば分かるでしょうが。
ピンボケの写真ばかりですが。エナガやメジロをようやく見かけるようになりましたね。堤の岩の間にヒバリが2羽飛んできました。冬のヒバリはなかなか見つけられなくて苦労するのでここなら見つけられると思ったのですがそれでも難しい。岩の隙間からこの辺に出てくるんじゃないかなってところに焦点を当てて待っていても違うところに現れカメラを向ける頃にはエノコログサをさっとついばんでまた岩陰に隠れてしまっています。でも双眼鏡ではがっしりした足で立っているのを見て頭に残っているのでOKです。ハクセキレイは木に止まっているのを見るのは珍しい気がしたので。葉が落ちれば電線と変わらず止まるのかな。
ほかにもガビチョウの鳴き声がしきりにしているので探すのですが案の定藪の中なので見つけられない。ウグイスは藪の中で跳びはねていて姿は見えるけれど私では撮影は無理でした。
そして埼玉県の県木ケヤキの実が熟していて鳥たちの貴重なエサになっていました
エノキの実はケヤキよりずっと小さくスズメでも食べられるほどですが、ケヤキは中型の鳥くらいからのエサになっているようです。エノキがどこにでも生えてくるけどケヤキはそこまでではないのはこの実の大きさが関係しているようです。
そして所沢で一番目立つのがこの鳥たち
これが飛んでくると鳴き声が聞き取れなくなるんですよね~。木々や水辺に浸っているという感覚も一気に冷めてしまうし。狭山にある堀金・上赤坂の森に探鳥に行ったときはこれに泣かされました。でも狭山湖。楽しいフィールドです。フェンスが無ければ森の中の散策は水鳥探鳥と同じくらい楽しそうですがそっとしておきましょう。
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