モズがスズメを狩る -伊佐沼- 2022/12/31

カラスが騒ぐとき、小鳥やハトが一斉に飛び立つとき、そしてモズがけたたましく鳴き続けるときそれは何かが起こっている証しです。

伊佐沼の東岸でヨシの中から飛んできて珍しく枝に止まったカシラダカを撮っていると、そんなモズの強い鳴き声が始まりました。探してみると秋からここを縄張りにしているメスのモズのようで、かなり興奮して鳴き続けています。

3分ほどもの間鳴き続けていました。そしてフッと飛んだと思ったら次に現れたのは杭の上でした

突然だったので最初はピント合わせる間もなく

小鳥を引き上げているでは無いですか!スズメです。衝撃でした。スズメやシジュウカラを狩るとは聞いていたけれど目の当たりにするとは。しかしこのときはまだ「狩り」でしとめたのか死体を運良く見つけたのか断定はできないなと思いました

その後もやはり鳴き続けながら引っ張り上げ

はたしてどこにこのスズメを置いてあったのかは残念ながら分からずじまいです。杭の外側から引張上げたように見えますがモズがいた周辺にももう少し奥が写っている画像にもスズメは写っていなかったので、杭の内側にあったのを一度杭の上に置きにきたとき勢い余って反対側に垂れてしまったのを、再度持ち上げ直してるのではと思います

スズメの首筋が噛みちぎられている

スズメは首に深い傷を与えられたようです。モズはスズメを「しとめた」と判断してよさそうに思います。スズメを襲って傷を与えられるようなネコ、イタチ、ハイタカなどが襲ったならそれをモズが奪えるはずもないですし、自然死したスズメならモズがわざわざ死体に傷を付ける必要も無いのではと思います

そしてヨシの茂みの中に消えていきました

モズが鳴き始める前、上に書いたようにカシラダカが飛び出してきましたがスズメの群れが飛び立つ様子はありませんでした。単独でいたスズメだから襲えたのかも知れません。モズが鳴き続けるのは秋の縄張り主張の高鳴きや人やタカが近くに来たときの警戒・威嚇での理由がありようですが、先日イナゴを捕まえたメスのモズがやはり同じように強く鳴きながら食べていたのを見ました。獲物を持っているなら鳴かないでひっそり食べるほうがいいような気がするのですが、モズの方法としては鳴き声を立てて獲物を獲得したことをアピールし、逆に奪いに来るものがいないか図る・あるいは奪いに来るなと警告しているのではと勝手に推測してみました。真偽は分かりません

とにかくそこらにイナゴやバッタがいくらでも飛び跳ねてて拾い食い状態の夏・秋に比べたら冬は獲物は何も無いようなもの。モズも鳥を襲わねば「ならない」のでしょう。私が地元で見つけたイナゴのはやにえたちも無くなっていました。保存食ももう使わなければいけない季節のようです


私のバードウォッチングの強い興味は鳥たちが何を選んでどのように食べているのかということなのですが、こんなシーンもありました

漁をしていました!カモメのように水面の魚を拾い上げて

トビは、あまり積極的な狩りをしません。数が少なくないこと、群れることにも関係していますが、弱ったものや死んだものを食べることが多く、「トンビがタカを産む」ということわざがあるように、ランクが低く見られる要因にもなっています。

トビ:身近なタカのなかま | 野鳥写真図鑑 | キヤノンバードブランチプロジェクト (global.canon)

先日の投稿に大きなヘラブナを運んでいるトビの画像を上げましたがそれは死体なのではと思っていました。しかし漁をした可能性が高くなりました。トビはほぼ完全なスカベンジャーで狩りをするとしても地上の動きの遅いものをなのかなと思っていましたが、こんな方法で獲物を捕まえるなんて知りませんでした

さらに2時間後にも魚を掴み空中で食べているトビがいました

上と同じ固体なのかは分かりません。魚は両方とも細長くある程度の大きさがあるのでウグイでしょうか。しかしある程度の大きさとはいってもトビの大きさからしたら小さい魚なのに上空から見つけ動く魚をピンポイントで捉える能力があるわけです。トビの漁の腕は巧みでした。そして伊佐沼上空でトビが飛んでいるのはこのように継続的に漁をするためだったと分かったのはさらに収穫でした。そういえばここでもカラスによく追われていますが、モビングで追い払われているのでは無く獲物を横取りしようとされているのかも知れません。次の観察の対象とします


大きな獲物を見つけ興奮している鳥はまだいました

時節柄お雑煮に入れるには最高の食材ではないだろうか

イソシギです。エビを見つけました。そして首を振り回して地面にたたきつけては拾い、殻を壊す行動を繰り返しています

やや小ぶりなのでスジエビか小さなテナガエビだと思います。そりゃごちそうだ。念入りに殻を外して喉に引っかからないように下処理をしているわけですね

そしてスーパーで売ってるむきエビ状態になってからようやく飲み込みました

触角などはペリットとして吐き出すのでしょう

以前タシギがこれよりはるかに大きいアメリカザリガニを水底に見つけたときはそりゃもうお祭り騒ぎで叩きつけていました。普段イソシギは岸辺のほんとにちっさな虫やクモを拾いながら拾いながらですし、タシギも延々と浅瀬でくちばしを刺しては抜き刺しては抜きの大変な労力を使ってますからエビはたまのご馳走ですね


同じ獲物を違うように食べている小鳥たちも見ました

シジュウカラとコゲラです。両方ともイラガのサナギを食べているのですがシジュウカラはサナギをまるごとくわえています。先日シジュウカラが殻ごと繭を引き剥がして枯れ枝の上に持ってきて、ヤマガラがドングリをつつくときのように足の間に挟んで割っているのを見ました。そうやって殻をしっかり割ってからサナギを全部取り出して食べるのでしょう。

一方コゲラがイラガの繭を突いているところは大変よく見ますが、小さく穴を開けてすぐ中身を引きずり出して食べます。なのでサナギは引きちぎられてしまい全部は食べられないようです。でも突くことに長けているコゲラはどんどん割っていけるのでそうやって次々と次の繭を探していくほうが効率的なようです。同じ対象を食べるにも違うやり方なのを発見できました


さてもの食う鳥たち以外の鳥たちです

ユリカモメやアオアシシギは見当たりませんでした。ハマシギは一時北の干潟に5羽ほど増えていたのですがまた南の3羽だけになっていました。オオタカ、ハイタカ、ハヤブサは現れず。タシギが群れているのは驚きました。渡りから帰ってきたときには何羽かでいたのを見ましたが冬でも群れるんですね。

ハクセキレイが2羽で連なっていたのですが前を行く子がずっと尾を上げたまま歩いていたのが興味深かったです。メスのアピールなのかなと思いました。

そして大好きなオオジュリン。今シーズンは少ないのでは無いでしょうか?それとも昨シーズンが多かったのかどこのヨシ原に行っても必ずいたのに今年はめったに見られないです。代わりにカシラダカがすごい多いです

冒険の森沿いの水路にはハンノキが数本生えているのでそこにシメやらウソやらが来ないかとしばらく待っていたら、そちらは来なかったけれどいつものようにカワセミがやってきました

一年の締めにふさわしい贈り物

新年も伊佐沼に通うことが多そうです。今年はタゲリはくるのでしょうか

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